農業でセミリタイア

平成生まれの夫婦がしょぼい農業で生きていく

【賢い消費者とは】“日本人は判断する意識が低い”:真っ赤なりんごから考えてみました

先生からイタリア・南チロルのりんご栽培の現場を視察した話を聞きました。

 

現地ではもう7年も前に、成長を抑えた小ぶりな木を密植して生産効率を高める手法を確立していたそうです。家族経営が主流にもかかわらず、1人当たりの生産面積が多く、りんごの品質も高かったとのこと。学ぶべきことが多いです。

 

研修報告の資料を見ていると、栽培品種の中に、日本を代表するりんご「ふじ」も含まれていました。そして、そこに興味深い一文が…

 

葉摘み、玉回しは行わない

 

(ん…?なんでだろ。なんか上手に着色する先端技術でもあるんだろうか)

 

そう思い、先生に聞いてみると、イタリアではそんなこと気にしないんですって。「結局、日本人が気にしすぎなんだろうな~」と。

 

なんだかなぁ、と思ったので、きょうはそのことについて掘り下げてみます。

 

そもそも、「葉摘み」「玉回し」とは

 

わたしたち、このところ、りんごの「葉摘み」「玉回し」という作業をひたすらに続けています。

 

詳しい作業の様子は以下の記事でも書きましたが、果実全体が真っ赤に色づくようにするため、邪魔な葉を摘み取って、玉をくるりと回すわけです。

 

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葉摘み【before】

 

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葉摘み【after】

 

この作業を1玉ずつやるので、相当な手間がかかります。


www.syoboi-nougyou.com

 

でも、この作業って、実は大きな矛盾をはらんでいます

 

先生の言葉を借りれば、葉っぱというは「糖の生産工場」なんです。つまり、果実の見た目をよくするために、品質を犠牲にしているわけです。

 

でも、見た目重視の日本では、真っ赤なりんごじゃないと売り物にならないということで、農家さんが葉をプチプチもぎ取っちゃうんですよ。それが、「糖の生産工場」であるにもかかわらず。

 

「葉取らずりんご」なる商品も

 

 
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消費者の心理を逆手にとって、「葉とらずりんご」なる商品も人気を集めています。

 

でもこういう商品が成立するのも、「真っ赤なりんご」を求める消費者の共通認識があるからなんですよね。

 

だってイタリアじゃ、「葉とらず」が当たり前なんだから。そのことが商品の付加価値にはならないわけで。

 

(にしても、上のりんごおいしそうですね。葉とらずの効能も詳しく書いてありました。ご興味あれば、ちょっと見てきてください)

 

“日本人は判断する意識が低い”?!

 

以前、こんな記事を読んだのを思い出しました。“日本人は判断する意識が低い”の部分が見出しに取られていて、内容としては「中国のやらせレビュー工場」の実態を浮き彫りにしたリポートです。

 

探してみたら、まだリンクが残っていたので、こちらに貼っておきます。
www3.nhk.or.jp

 

日本人はレビューがないと、まずその商品を買わない。2つの同じ商品がある場合、見比べてレビューがたくさん付いているほうを選ぶ。これは日本人の習慣。食事といい、宝くじといい、長い列のところに行きたがる。列が長ければ長いほど、そこに行きたがる。自分で判断するという意識が低い

引用元:WEB特集 潜入取材!中国やらせレビュー工場 | NHKニュース

 

ようするに、日本ではレビューの内容いかんにかかわらず、レビューの件数が多い方の商品が売れると。やらせのレビューを掲載することに問題があるのは言うまでもありませんが、この記事は日本の消費者の在り方にも問題を投げ掛けているわけです

 

りんごの話に戻しましょう

 

りんごの話に戻します。わたしはここのところ、毎日りんご畑で葉を摘んでいました。

 

そうすると、太陽の光をさんさん浴びて真っ赤に色づいたりんごはおいしそうです。それで、食べてみると実際においしい!

 

逆に、葉っぱが混みすぎていて、果実の日当たりが悪いと、味も落ちる気がします。(研修を始めたばかりで、勉強が追いついていないため、直観的にしか言えませんが)

 

だから単純に、葉とらずりんご=おいしいというわけでもないと思います。

 

 

賢い消費者になる最初の一歩は、その農産物がどこで、どんな人が、どうやって作られたのか、生産の現場に目を向けることかもしれません。

 

葉とらずりんごのように、生産者が自信を持ってセールスポイントを語れる農産物は、試してみる価値があるでしょう。

 

そしてわたし自身も、自分の生産物のセールスポイントを、自分の言葉で語れる生産者になりたいと思うところです。

 

それでは、つくつくでした。

 

 

《Close Up》

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